ディープラーニングとは?
ニュースなどでディープラーニングという言葉を聞くようになりました。しかし具体的には何を指すのかよくわからないという方もおられるでしょう。そこでこの記事ではディープラーニングについて詳しく解説しています。これからますます重要になる技術なので、最後まで目を通して理解してください。
ディープラーニングの概要
ディープラーニング(Deep learning)または深層学習とは、対象の全体像から細部までの各々の粒度の概念を、階層構造として関連させて学習する手法のことです。深層学習として最も普及した手法は、多層の人工ニューラルネットワークによる機械学習手法で、多層ニューラルネットワークについては、ジェフリー・ヒントンの研究チームが2006年に考案したスタックドオートエンコーダが直接の起源となりました。ディープラーニングは音声や画像、自然言語を対象とする諸問題に対し、ほかの手法を圧倒する高い性能を示しています。
ディープラーニングの仕組み
ディープラーニングのベースであるニューラルネットワークは人間の脳をモデルとしています。すなわちニューロンが複雑に絡み合うさまを数理モデル化し階層構造としたものです。この多層ニューラルネットワークを用いて入力されたデータのパターンを読み解き蓄積していくことで学習していきます。データの数と施行回数が多いほどパターン学習は正確になります。そしてその結果として識別精度が向上するというわけです。
ディープラーニングの主な手法
ディープラーニングには大きく3つの手法(ネットワークモデル)があります。どれもよく使われる手法なのでご紹介しておきましょう。
■畳み込みニューラルネットワーク
畳み込みニューラルネットワーク (Convolutional Neural Networks:CNN) とは、全結合していない順伝播型ニューラルネットワークの一種です。主に画像認識や動体検知に用いられています。
■回帰型ニューラルネットワーク
回帰型ニューラルネットワーク (Recurrent Neural Network:RNN) とは、有向閉路を持つニューラルネットワークのことを指します。時系列データの学習や自然言語処理分野で用いられます。
■長・短期記憶
長・短期記憶(Long short-term memory:LSTM)は、回帰型ニューラルネットワークを発展させたものです。ですからRNNの一種ということになります。こちらも自然言語分野での処理に用いられています。
ディープラーニングの応用例
ディープラーニングを応用した技術については次のような事例があります。
■自動運転
車の自動運転ではディープラーニングは最も基礎的な部分を担っています。すなわち認知です。車載カメラの情報から周囲の状況を把握し、歩行者や障害物などを避けながら走行させます。
■自動翻訳
自動翻訳ではLSTMを用いることにより人が翻訳したような自然な文脈を作り出します。
■医療分野
医療分野では超大な症例や論文などの医療データから病気を診断し適切な治療法を提案してくれます。ディープラーニングは他にもIoTや在庫管理、サイバーセキュリティの分野でも利用されています。
<まとめ>
ディープラーニングは20世紀のうちに開発されていたものですが、実用化を迎えたのは21世紀に入ってからです。今世紀に入ると複雑な計算に耐える高性能コンピュータの出現や、インターネットの発展による学習データの流通によって、十分に学習させられるようになったのです。この流れは今後も変わることはありません。新たなネットワークモデルも毎年登場しています。車の自動運転も近いうちに実用化されるでしょう。